【第80回】“悩み”の次の悩み。

ある秘密結社に雇われたヒットマンが
アジトを案内されていた。

アジトは、海岸沿いに位置し、東京ドーム1個分くらいあるんじゃないかって広さに、至る所にトイレや浴室があり、パーティールームも完備している超豪邸だった。

でも、ヒットマンは、呆れていた。
自分が目指していた組織のトップはこんなものなのかと。

自分は何の為に可能性を叶えてきたのかと。




その2階のだだっ広いリビングの真ん中に、
ポツンと男が座っていた。

男には、生気がない。
死人のようだった。


「ありゃ、捕虜だよ。」
案内役の男がいう。

周りを見ると、ベランダに続く窓は全開だし、ヒットマン達が入ってきたドアも特別鍵が付いていなかった。

「何故、こいつは逃げ出さないんだ?
バカなのか?笑笑」
とヒットマンは聞いた。

すると、案内役はこう答えた。
「諦めているんだ。」

ヒットマンは、理解出来なかった。

「あいつはこの部屋に軟禁されていた。
何十回も脱走を試みたようだが、組織の人間が部屋から出る度に、捕まえ、拷問し、この部屋に戻す。
“部屋から出る→捕まる→拷問→部屋に戻る”
これを何十回、何百回って繰り返したんだ。そして、あの男は、身体で理解した。
『何やっても無理だ。』とな。
もう、あいつは逃げ出しやしない。
扉を空けてようが、ドアに鍵が掛かってなかろうが、あいつは逃げる事を諦めている。」




ヒットマンが、男に近づく。
「逃げたくないのか?」
「いいや。もういいんだ。」
「今一番食いたいもんは、なんだ?」
「いいや。何でもいい。」



ヒットマンは、男を殴る。
「おいっ!!てめぇ!!!
おめぇ、もう死んでんのか!?
やりてぇこととか、心の奥底から
”しなきゃいけない!”
って湧いてくるもんはねーのかよ!?
守りてぇもんとか!壊さなきゃいけねぇもんとかねーのかよ!!」

「いいや。何にもねーな。」

ヒットマンは、もう一度殴った。
男は、痛みを感じることさえ諦めているのか
何事もなかったように、外を見始めた。




「気は済んだか。ボスに会いに行く。」
案内役の男は、爪をいじりながら言った。

「いいや、こいつは外に連れ出す。」
「は?」

ヒットマンは、男の首根っこを掴むと、力任せにベランダに出そうと無理に引っ張った。

「やめてくれ!!もう嫌だ!!!
もうあんな思い二度としたくない!!
嫌だ!!!嫌なんだ!!離してくれ!!」

男は、必死に抵抗した。







「いい加減にしろよ。」
案内役の男は、銃口をヒットマンに向けた。

「お前は、組織の人間になるんだ。
勝手な行動は、断じて許さない。」

「俺には、俺のルールがある。」
案内役の男は、引き金を引くその少し前に、
自分の身体に力が入らない事に気付いた。

撃たれていた。
しかも、心臓のど真ん中を1発。


案内役の男の身体がゆっくりと、
カーペットに倒れ込む。

その瞬間、男は悟った。
「嫌だ!嫌だ!外には出たくないんだ!
どうせ捕まるんだ!嫌だ!嫌なんだ!」


ヒットマンは、男の言葉を無視し、遂に男を
ベランダに引っ張り出した。

「なんでだよ!なんでこんな事するんだ⁉︎」
「俺はお前みたいなカス野郎が大嫌いなんだよ!!!」

警報が鳴った。
と、同時に男が泣き叫んだ。
過去に受けてきた拷問を思い出すかのように。

「やめてくれぇーーーーー!!!!」

どうやら、男の付けている腕時計のようなものに警報は反応したようだ。

ヒットマンは、腕時計を簡単に外した。

その出来事に唖然としている男に、
ヒットマンは言った。

「思い込みつうのは、厄介だよな笑笑」


ここから逃げられるかもしれない。
男は、少しの希望を持った。

「行くぞ!」

男は、ヒットマンに手を引っ張られると、その力に身を任せ、ベランダから飛んだ。

もう自分にはなんだって出来ると
思っていた。

豪邸の庭に転がった2人の前に、
追っ手が3人現れた。


銃声が響く。
3発。


倒れ込む追っ手が現れた方向とは逆を見ると、巨大な門があった。
出口だ。

男は、ここに連れて来られた時の事を思い出していた。
愛する恋人の事を思い出していた。

ヒットマンが門の鍵を撃ち壊すと、
2人は外に出た。

そこには、
ヒットマンが乗ってきた車があった。


男は、数年ぶりに笑顔になれた。
希望がしっかりとした形をし、外に出た。
そして、銃声が鳴った。





「うぐっ…」
ヒットマンが倒れ込む。
足を撃たれていた。
追っ手が数人来る。


「乗れよ。」
ヒットマンは男に鍵を渡す。

「お前はどうするんだ!?」
「俺はいい。」
「お前は、なんのために…」
「いいから乗れぇ!!!!!」

ヒットマンに圧倒された男は、
急いで運転席に飛び乗り、キーを回し、車を走らせた。

背中から銃声が何発も聞こえてくる。
男は、目をつむった。

訳がわからなかった。
やっぱり外に出るべきではなかったのかもしれない。


また1発、また1発と、丁寧に撃ち込んでいる音が聞こえてくる。

バックミラーに写るヒットマンは、遠く、
何人もの追っ手がヒットマンの身体を見下ろしていた。




男は、泣き出してしまった。
それは、今に対する喜びの涙なのか、
ダッシュボードに挟まったヒットマンと写る幸せそうな家族の写真を見たからなのか、
男には、わからなかった。















満員電車は、無くならない。
イジメは、無くならない。
犯罪は、無くならない。

僕なんかより遥かに頭が良く、行動力があり、財力がある人間が溢れてる日本なのに、だ。


誰も解決しようとしない。
今、本気で満員電車を無くせる人間がいたのなら、間違いなくヒーローになるだろう。



悩みが尽きることはない。
今、あなたが悩んでる事が解決したら、また別の悩みが出来る。

もっというと、その悩みにすら気付いていない、気にしていない場合がある。

「しょうがないよ。」とか
「別にまぁいいだろ」とか

諦めている人が多い。

世に溢れる低価格なXXLの服だってそう
世に溢れる低価格のEカップ以上のブラだってそう

そこに諦めがあるから、
ジジ臭く、ババ臭い。

ダサい。めっちゃくちゃダサい。


街で見かける背の高い人(180cm以上)を
オシャレだと思ったことがありますか?

「せっかくスタイル良いんだから、
もっと服に気を使えばいいのに。」

って思ったことはありませんか?

ほとんどの高身長の人が諦めている。


今日、渋谷で実際に僕の作ったXXLの服を180cm以上の人に着てもらった。
※後でその動画もUPします。


オシャレな男性2人に着てもらい、感想を聞いた。

ピッタリで嬉しいと。

ついでに、いくらだと思うか聞いてみた。

すると、
実際に僕が販売している額の倍以上の値段を
答えた。



諦めてない人でも、悩みはある。


大きすぎる服は、
全くないし、あっても高いんだ。


だから僕は今、身勝手ながら
XXL限定で、低価格の服を作り、
180cm以上の人の服の悩みをぶち壊そうとしている。

何故なら、
180cm以上の人達が、次の悩みに進む為だ。



取り除ける悩みは、無理矢理にでも、
取り除いてやりたい。

本人が望んでいなくても、
絶対にその方が良いと僕は信じているから。











物語のヒットマンのように。



PS.ヒットマンのお話は、大学の授業で習った「囚人のジレンマ」からのオマージュです。

どうでしたかね?笑



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